WWDC24に行った
今年は運良く当選したので、WWDC24に参加してきた。17, 19以来5年ぶり3回目の出場(23も会場には入れなかったが、現地にはいた)
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— giginet (@giginet) June 9, 2024
著者近影
23年は仕事で現地まで行ったが、会場には入れず、参加者の様子を見聞きしただけで厳密な比較はできないけど、今年は昨年に比べて参加者がかなり増え、日本からの渡航者も増えていた印象だった。
COVID以降初の参加だったが、今年は大分COVID前のコンベンションセンター時代の盛り上がりが戻っていたように感じた。
0日目:registration
初日はInfinite Loop(旧Apple本社)にてregistration。バッヂを受け取って終わりかと思ったら、そのままビールが提供されたり、参加者と懇親できるようになっていた。COVID前のWWDCを想起させるノリだった。
公式のコンテンツはないが、知り合いや初対面の方含め、いろんな人と雑談する。
夜はパーティーで紹介してもらった韓国から来たDeveloper集団の宿にお邪魔して交流したりとわいわいしていた。
1日目:Keynote + Special Event
現地時間の月曜はKeynote、朝6時半前には現着してApple Park前で待機。かなり早く行ったけど、8時前ぐらいまで入場はできずに、列の形成もファジーな感じだった。ここまで張りきらなくても結果的には前の方に座れたので、7時半ぐらいに行くので十分かもしれない。 (とはいえコンベンションセンター時代には徹夜組もいたので、本当に毎年いつから並べば良いか読めない)
8時過ぎたらPark内に入場できて、朝食などが振る舞われた。 期間中は事あるごとに食事が提供されたが、どれも美味しくて驚く。以前のWWDCは雑なランチボックスが5日間提供され続けていて、かなり食傷していたけど、とても食事の質が上がっていた。しかも参加費が無料だからビックリ。
ようやっとKeynote。発表内容は他の記事に譲るけど、やはり毎年とてもプラットフォームの進化にワクワクする。茶番のクオリティも年々上がっていて楽しませてくれる。
その後、後述のLabに行ったり、Xcode 16を試したりしていた。
今回、Swiftのメジャーバージョンがあることは自明であり、開発中のアプリのビルドがちゃんと通るかを心配していたが、事前の予想に反してSwift 5モードの互換がかなりしっかりしており、少しの変更で開発環境を作ることができた。終わった後のビールが美味い。
電源、ネットワークのブースが屋外で、炎天下の中作業していたけど、熱中症のリスクがあるので気をつけた方が良い。
In Person Lab
今年の特徴として、わずか3時間ほどではあったが、COVID前のIn Person Labが部分的に復活していたのは良かった。ビルド+Xcode Labがあったので、予め用意していたld(linker)周りの質問を持って行った。
In Person Lab、やはりOnline Labと比べて体験が段違い。対面であることのコミュニケーションのしやすさもそうだが、その場で操作を変わってくれたり、ホワイトボードでディスカッションできたりと、Online Labで同等の体験は難しい。
また、Online Labではミーティングの参加者しか対応してくれないが、In Person Labでは、わからないところは周りのエンジニアを呼んできてくれて教えてくれるのも大きい。
ここでわいわいすることこそがWWDCの真骨頂だと思うので、来年はぜひ日数を伸ばしてほしい。
2日目:Special Session
2日目火曜日はわずかに1時間ほどのセッションがあるのみ。昨年は「Apple Vision Proのアプリ作ってね〜」という基調講演的な内容だったと聞いていて、今年はApple Intelligence(以下AI)関連かな、と思っていたが、案の定そんな感じだった。
セッション自体は撮影や録画禁止だったので、中身の記録はないが、会場は小規模なホールで、登壇者が生で話してくれるのは体験が良かった。
撮影禁止とは言え、コンフィデンシャルな話がされていたわけではなく、AIに対応していくための既存のセッションの内容の再紹介といった感じで、気になる方はIntent周りのセッションを見ると、大体内容が把握できると思う。終盤はApple Vision ProでのARや、AIを使った体験設計の話で、セッションにはない内容だった。
技術的な話は、要約すると「App Intent作ってほしい〜」と言った話だった。App Intent自体はSiriやSpotlight、Widgetsなどを連携するために以前からiOSに存在するが、AIの登場により「通貨」のような側面が強くなってきたなと感じた。今後数年のAIの普及や、将来的なApp Intentの用途の拡大を見越すと、徐々にIntentを充実させる投資を行っていかないと、将来的なアプリの進化が行き詰まってしまうかもしれない。
他にもAssistant Schemaの解説があった。
Integrating your app with Siri and Apple Intelligence | Apple Developer Documentation
Assistant Schemaはアプリ上の手続きをSiriやAIが解釈可能な形で提供するためのブリッジの役割を果たす仕組みだ。 Intelligenceというと、なにか抽象的なインプットで、魔法のように全て良い感じにしてくれるものを想像してしまうが、実際は開発者が泥臭く手続きを記述するものなんだなという印象だった。開発者が泣くことでエンドユーザーが魔法のような体験を得ることができている。
開催期間中
開催期間中は、日中はAirbnbで仕事をしつつも、今年は日本人も多く、日々様々なミートアップが開かれていたので、毎日パーティーピープルをしていた。
到着日に開かれた日本人nomikaiや、世界中の参加者とのMeetup、Swiftコミュニティによる10周年イベントと暇をする時間がなかった。
昨年は週末までいたが、後半時間を持て余したので、今年は木曜昼には現地を離れた。そのため、Online Labやセッション動画の鑑賞、新技術の検証がほとんどできなかったのが心残り。 例年に比べて全体的に薄味な印象だったのでなんとかなった。
今年の総評
正直、昨年の新プラットフォーム(Apple Vision Pro)の発表が大きすぎて、今年はそれに比べると大きな発表はなかったと思う。
しかし、例年の傾向から大きな発表は数年に一度なので「今年は繋ぎの年っぽいなあ」という察しは事前にあって、良くも悪くも予想の範疇ではあった。
Swift AssistやApple Intelligenceも現段階では触れるところが限られているし、OS機能の強化も順当なものであった。 開発環境もSwift 6が出ることや、言語の新機能は、ほとんどオープンソースコミュニティで発表や議論が尽くされていたし、Xcodeの変化も目新しいものはなかった。
WWDCの前から、生成AIの普及とデバイスの高性能化に伴って、クラウドからローカルAIへの再評価が始まりつつあるな、と感じていたが、Apple Intelligenceの発表によりそのトレンドが強固なものになったのを感じた。 この領域は、ネイティブエンジニアに利があると思うし、ネイティブに投資していくのはまだまだ将来性が高いのではないかと考えている。
Apple Intelligenceは現時点では、A17 Proを始めとする高性能端末でしか動作せず、アーリーアダプター向けの機能ではあるけど、今後2〜3年ほどで普及機にも浸透し、生活に欠かせないものになっていく未来が見える。 その時に備えて今からどんどん投資していきたい。
Apple Vision Pro
今回、ついに日本発売が決まったので、帰りの飛行機で速攻注文した。(¥784,200 💸)
レンズの購入などが煩わしく、現地では敢えて購入しなかったので楽しみに発売を待とうと思う。
対あり pic.twitter.com/dbjq1LjU9F
— giginet (@giginet) June 14, 2024
高い買い物なので、せっかくだから何か開発しようかなあ。